『世の中の問いに正解なんてない!』という話[塾講師・雑談]
はじめに
学校教育、あるいは受験教育・・・。
これらの教育には一つの共通点があります。
それはズバリ、たった一つの答えを見つけ出す作業であるということです。
それこそが我が国日本の教育史上最大の特徴です。
ですが私はこうした教育の在り方を断固否定しています。
なぜなら世の中の問いの大半には答えがないからです。
『人生とは何か?』
『正義とは何か?』
『本当の幸せって何なのか?』
世の中に満ち溢れているこれらの問いには明確な答えがありません。
ですがここに無理やり答えを穿り出そうとする。
そういう人が最近多い気がします。
Q,本当の幸せとは何か?
A,そんなの決まっている! カネだよカネ! それ以外だと答える奴はバカだ!
そんな強引な問答が当然のように浸透している。
本当はカネ以外の幸せだってたくさんあるはずなのに、それを認めようともしない。
そんな世の中の在り方の根本には、
教育ゆがんだありかたが潜んでいるように思えてなりません。
答えがないかもしれない問いに無理やり答えを見出す。
それはまさしく、日本の教育の在り方そのものではないでしょうか?
①
冒頭で申し上げたように、世の中の大半には答えがありません。
見方を変えればいくらでも答えが出てきます。
例えば先ほどお話しした『本当の幸せとは・・・?』の話。
もちろん『カネ!』と断言する人もいるでしょう。
これはこれで答えの一つとして尊重されるべきであり、決して間違えてはいません。
ですが少しは見方を変えてほしい。
カネが幸せであるという人もいれば、結婚・愛こそが幸せであるという人もいます。
仕事が幸せという人もいれば、時間・自由こそ幸福だと答える人もいます。
見方を変えれば、答えなんていくらでも出てくるのです。
そして何よりわかってほしいのは、
これらの答えは、何一つとして間違えていないということ。
より正確に言えば、どれも正しいし、どれも間違えています。
完璧に正解しているものもなければ、完璧に間違えているものもありません。
強いてあげるとすれば、『自分の考えこそ絶対』という考えが、
絶対に間違えているといえる程度です。
どちらか一方だけが正しく、それ以外は正しくない。
そんな構図はほとんど存在しません。
他の例を挙げれば、ワクチンがありますね。
ワクチンを接種すべきと主張する人、
接種すべきでないと主張する人。
どちらもいます。
重症化や感染拡大を防ぐためにワクチンを打つべきという人、
ワクチンによる様々なリスクの増加を懸念する人。
両方いて当たり前です。
そしてこれら両方の意見は両方とも正しいのです。
それなのに無理やり白黒つけようとするあり方、
そこに疑問を呈さずにはいられません。
自分がワクチン賛成派だからって反対派を弾圧する人、
自分が反対派だからって賛成派を人格否定する人、
どちらも狂っています。
ですがどちらも存在しているのです。
このように、世の中の大半の問題には明確な答えがありません。
ワクチンだけではなく、政治の主張や将来の選択などもそうです。
色々な選択肢があって、そのそれぞれが正しくも間違ってもいます。
一つの選択肢だけが正しいということだけが絶対にありえません。
②
ですがそこに無理やり答えを導きだそうとする。
一つの答えのみを正解とし、それ以外の答えを×だと決めつける。
それは学校教育のあり方そのものではないでしょうか。
学校教育にこそ諸悪の根源が詰まっていると思います。
入試や学校のテストにはすべて、明確な答えがあります。
一つの答えのみが正しく、それ以外はすべて間違えている。
これはまぎれもなく、先ほどまで述べたゆがんだ世の中のあり方そのものです。
学校教育や受験に影響されている人は少なからずいるでしょう。
テストに慣れ、受験に慣れた。
慣れすぎたあまりにすべての問いに明確な答えがあると勘違いしている。
そんな人が多いから、世の中は余計にこじれていく。
そう思えてなりません。
政治であれば、自分の主張に従う人だけを『まとも』と扱う。
そしてそれ以外を異常者と決めつける。
本当はその異常者こそ正しいかもしれないのに、そう考えようとすらしない。
将来に関して言えば、
『絶対正社員じゃないと人生積んでるww』
『年収2000万以下は負け組乙』
そう妄信している人が多い。
本当はフリーターでノビノビ生きるのが一番幸せかもしれないのに、
そう考えようとすらしない。
こうした柔軟な思考ができない人が多いのは、
答えを一つと決めつける教育のあり方にある。
そう思わざるを得ないですね。
さいごに
もちろん学校教育のすべてが間違えているというわけではありません。
何度も言いますが、どんなことも正しくあり、間違えてもいるのです。
私の主張だって正しいかもしれないし、間違えているかもしれない。
大切なのは、『自分が間違えているかも・・・』と素直に考えなそうとする姿勢です。
答えを一つと決めつけないこと。
自分とは真逆の考えでも、実は正しい。
世間で間違っているとされていることこそ、実は正しいかもしれない。
そんな場合があることを素直に認めよう。
それができない人が多いから、世の中はますますこじれていくのです。
一番悪いのは思考の放棄です。
自分の考えを疑わず、妄信する。
疑念を一切いだかず、そのクセ他人のことは全力で否定する。
そんな頭の弱い人間が多いですね。
それを促しているのは、まぎれもなく学校教育であり、受験である。
答えを一つと決めつけるそのあり方が世の中をさらにこじらせている。
そう思います。
ですがどうせ学校も受験も変わりません。
ならばまずは自分が変わってほしい。
答えは絶対に一つではない。
そんなコ〇ン君みたいな考えに凝り固まらないでほしいですね。
学校のゆがんだ教育のあり方に翻弄されないことを願っています。